松の間

松の間

群馬県を代表する温泉地の一つである四万温泉にある湯元四萬館は、かつて井伏鱒二や太宰治など多くの文豪が訪れた四万川沿いの温泉旅館です。今回、その湯元四萬館の客室のうち最も古い8畳間タイプの客室を改修しました。

畳張りで座卓が置かれた8畳間の和室と、2畳程度の板間にソファーが置かれた広縁からなる客室は、多くの旅館に存在する一般的な客室タイプであると言えます。しかし、和室と広縁が襖で仕切られていたり、畳張りと板間の間に段差があったりと一体的な利用がしづらい状況でした。そこで、今回の改修に際して両室間の障子を取り去り、床の段差を無くすことで、宿泊客がより快適に過ごせる空間を目指しました。

今回の改修で一番重視した点は、和室と広縁の面積の割合の改善です。元々和室には多少の余裕がある一方で、広縁は椅子を2脚置いてしまうとゆったりとくつろぐことの出来ない空間でした。そこで、和室の面積を2割程度減らしその分を広縁に割り当てることでゆとりをつくりだしました。既存の和室に広縁が入り込むイメージです。客室の面積は限られているので当然和室の面積は減りますが、両室間の障子を取り去り同時に床の段差を無くすことでその狭さを感じさせないようしています。また、天井を落とし既存のRC造の躯体を露出することでより開放的な空間を目指しています。拡張した広縁にはヘリンボーンフローリングを貼り、中央には洗面とシンクが一体となったカンターテーブルを配しています。一方で和室は縁なし畳に貼り替えたり一部造作家具を追加したりしているものの、基本的には押し入れ、棚、窓の障子などは既存のものを補修し使用しています。

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